今週の展望:インフレ指標に注目、相場の方向感を探る一週間

先週は通商リスクや関税の脅威が再燃したにもかかわらず、市場全体のセンチメントは依然として前向きで、米国の主要株価指数は過去最高値を更新しました。ただ、週末にかけては来たる決算シーズンへの警戒感から、若干の調整が見られました。

今週は何よりもインフレ指標に注目が集まります。特に米国をはじめ、いくつかの主要国で重要なCPI(消費者物価指数)が発表される予定で、予想を大きく上回ったり下回ったりすれば、金利見通しや市場全体に大きな影響を及ぼすでしょう。

中央銀行のイベントは比較的静かですが、週を通して複数の米連邦準備理事会(FRB)メンバーの発言が予定されており、これも市場心理を揺さぶる要因になりそうです。

以下では、今週の主要なリスクイベントを日ごとに整理しました。


月曜日:穏やかな幕開け、ただし地政学リスクに警戒

経済カレンダーは静かなスタートで、注目度の高い主要指標の発表は予定されていません。

しかし、トランプ大統領がロシアに関する最新の声明を発表すると予告しており、地政学的なサプライズがリスク選好を一変させる可能性があります。


火曜日:今週最大のデータ集中日

火曜日は、アジア、欧州、米国それぞれの時間帯で重要指標が相次ぐ、最もインパクトの大きい一日です。

アジア時間:
中国でGDP、鉱工業生産、小売売上高といった一連の重要経済指標が発表予定。世界第二位の経済の勢いが改めて注目されます。

欧州時間:
ドイツのZEW景況感指数がロンドン市場の焦点になります。

米国時間:
注目は何と言っても米国のCPI(消費者物価指数)。市場予想は月次0.3%の上昇ですが、予想を大きく外れれば金利観測が大きく揺れ動くでしょう。同時にカナダのCPIも発表されます。さらにエンパイア・ステート製造業指数も発表され、日中を通じて材料が目白押しです。

夕方以降には以下の要人発言も予定されています:

  • FRBメンバー:バール、バーキン、ボウマン、コリンズ
  • イングランド銀行のベイリー総裁

水曜日:さらなるインフレ指標とFRB発言

アジア時間:
比較的静かで、取引は落ち着いた立ち上がりが見込まれます。

欧州時間:
英国のCPIが発表され、インフレ動向への関心が再燃するでしょう。

米国時間:
生産者物価指数(PPI)が公表され、インフレの先行きが一段と注目されます。加えて、週間の原油在庫統計も控えています。
この日もFRBメンバー(バーキン、バール、ウィリアムズ)の発言が予定されています。


木曜日:雇用統計と米国消費指標が焦点

アジア時間:
オーストラリアの雇用統計が発表予定。先週RBA(豪準備銀行)が利上げを見送ったため、雇用データは市場の注目を一層集めそうです。

欧州時間:
英国では労働市場統計が発表されます。

米国時間:
重要度の高い複数のデータが一気に公表されます:

  • 小売売上高
  • 新規失業保険申請件数
  • フィラデルフィア連銀製造業指数

さらにFRBメンバー(クーグラー、デイリー、クック、ウォラー)の発言も予定され、金利見通しが改めて注目される一日になりそうです。


金曜日:比較的穏やかな週末へ

多忙だった一週間を締めくくる金曜日は、比較的落ち着いたスケジュールです。

アジア・欧州時間:
目立った指標発表は予定されていません。

米国時間:
ミシガン大学による消費者信頼感指数とインフレ期待指数が公表予定です。これらはCPIほど影響力はないものの、予想を大きく外れた場合には相場の反応を誘発する可能性があります。


結論

今週は、複数の国のインフレ指標が一斉に発表され、金利見通しをめぐる思惑が市場を動かすでしょう。決算シーズンが本格化する前に、各種指標と中央銀行関係者の発言がどのようにセンチメントを変えるのかが注目されます。

投資家にとっては、シナリオがどちらに転んでも即応できる柔軟な姿勢が重要な一週間となりそうです。