ウォール街は昨晩大幅に上昇し、主要3指数はいずれも史上最高値となりました。インフレ率は予想をやや上回ったものの、新規失業保険申請件数が約4年ぶりの高水準に達し、市場は追加利下げ期待を一段と織り込みました。ダウ平均は1.36%高の46,108ドル、S&P500は0.85%高の6,587、ナスダックは0.72%高の22,043で取引を終了しました。
債券市場では利回りが低下し、2年債は0.3bp下げて3.541%、10年債は2.3bp下げて4.022%となりました。ドルはECBが金利を据え置いたことを受けたユーロ高に押され、ドルインデックス(DXY)は0.27%安の97.51。原油は米国需要減退と供給増懸念から売られ、ブレントは1.75%安の66.31ドル、WTIは2.14%安の62.30ドル。金は高値圏で横ばいとなり、0.18%安の1オンス=3,633.47ドルで推移しました。
失業保険申請急増でドル下落
新規失業保険申請件数が2021年以来の高水準となり、米ドルは軟調地合いが続いています。CPIは予想をわずかに上回り下落幅を抑えましたが、DXYは月間安値圏で推移。市場は年内75bp利下げの可能性を79%織り込んでおり、1週間前の45%から急上昇しました。ただし期待が行き過ぎているとの見方もあり、修正が入ればドル反発の余地もあります。ユーロがECBの据え置きを受けて急伸しており(指数の57%を占める)、今回のドル安は米国要因よりも欧州要因が大きいとみられます。FRBによる来週の25bp利下げはほぼ確実視され、その後の動向は今後の経済指標次第となります。
週末に向けた静かな金曜日
本日の経済カレンダーは比較的落ち着いており、トレーダーは週末に向けて調整姿勢となりそうです。ただし、地政学的リスクは依然として高止まりしています。アジア市場は米株の最高値更新を受け堅調に始まる見込みで、欧州市場では英国のGDP(予想:前月比0.0%)が焦点となり、ポンドが主要な動意通貨となりそうです。米国市場ではミシガン大学消費者信頼感指数(予想58.2)とインフレ期待(前回4.8%)が予定されています。特段のサプライズがなければ、ここ数日の波乱に比べ、今週は比較的落ち着いた形で終える可能性が高いでしょう。