関税期限を前に米国株荒い値動き – ダウ0.4%安

2025年7月9日

米国株式市場は昨日、方向感を欠いた展開となり、関税期限をめぐる思惑や通商政策を巡る相反するシグナルを消化しながら荒い値動きとなりました。トランプ大統領は関税発動日を延期する可能性を示唆する一方で、銅輸入に対し50%の高関税を課す案も浮上させ、市場の不透明感を一段と高めました。

ダウ平均は0.37%安となり、慎重な投資家心理を反映しました。S&P500は0.07%安、ナスダック総合指数は0.03%高とわずかに上昇して引けました。

米国債利回りも小動きで、2年債は0.4bp低下の3.891%、10年債は2bp上昇の4.399%となりました。

為替市場では、ドルは関税と金融政策の行方を見極めようと横ばい推移。ドル指数(DXY)は0.02%安の97.49でした。一方、オーストラリアドルは予想外のRBA(豪準備銀行)の据え置きを受け、50pips急騰し、レンジを上抜けました。

商品市場はまちまち。原油は2週間ぶり高値に上昇し、ブレント原油は0.53%高の69.95ドル、WTIは0.28%高の68.12ドルとなりました。金は関税延期の可能性が意識され、1.03%安の3,301.27ドルに下落しました。


RBA、予想外の据え置きで市場を驚かす

RBA(豪準備銀行)は、弱含む国内情勢にもかかわらず根強いインフレ圧力を理由に、政策金利を3.85%で据え置き、市場を驚かせました。市場は95%の確率で25bp利下げを織り込んでいたため、この決定はサプライズとなりました。

発表を受け、豪ドルは50pips急騰し、投資家がポジション調整に追われました。ブロック総裁は今回の決定が政策転換ではなくタイミングの問題であると強調しましたが、市場の期待は大きく変化。先物市場は8月会合での利下げ確率を85%と織り込み直しています。

RBAは、年初のタカ派姿勢から5月のハト派シフト、そして7月の据え置きと一転し、政策スタンスが揺れる中、長期的なポジション取りは難しくなっています。ただし、政策不透明感は短期トレーダーにとって新たな取引機会を生み出す可能性があり、特に豪ドルは狭いレンジで推移してきただけに注目度が増しています。


本日の注目は関税と中銀イベント

今後を見据えると、複数の重要イベントが重なることで市場が活発化する可能性があります。

  • アジア時間:米国の関税報道を消化し、中国のインフレ指標(CPI前年比+0.2%、PPI前年比-3.2%予想)が公表予定。
  • ニュージーランド:RBNZ(NZ準備銀行)は、6会合連続の利下げの後、3.25%で据え置きが見込まれています。
  • 欧州時間:イングランド銀行の議事要旨公表が予定され、英資産の方向性を左右する見通し。
  • 米国時間:ホワイトハウスからの関税関連発表に市場は注目。その後、FOMC議事要旨が発表され、年後半のFRB政策見通しを探る手掛かりとなります。