雇用統計の弱さで利下げ期待高まり米株下落

2025年9月8日

米国株式市場は金曜日、予想を下回る雇用統計を受けてFRBによる積極的な利下げ観測が再燃し、下落しました。ダウ平均は0.48%安の45,400で引け、S&P500は0.32%安の6,481。ナスダック総合指数は0.03%安の21,700とほぼ横ばいで、ハイテク株は不透明感の中でも相対的に底堅さを示しました。

一方、債券市場では強い需要が見られました。2年債利回りは7.9bp低下の3.509%、10年債利回りは8.6bp低下の4.074%と、大幅なFRB観測の修正が反映されました。ドル指数(DXY)は0.62%安の97.72に下落し、金は1.15%高の3,586.69ドルと過去最高値で引け、安全資産需要を示しました。

原油価格は急落。OPEC+が増産計画を進めるとの報道を受け、ブレント原油は2.22%安の65.50ドル、WTIは2.54%安の61.87ドルとなり、エネルギー市場に圧力がかかりました。


雇用統計不振で利下げ期待急上昇

8月の米雇用統計(NFP)が金曜日の相場を大きく動かしました。雇用者数はわずか22,000人増と予想の75,000人を大きく下回り、失業率は4.3%に上昇しました。

この弱い結果を受け、FRBの利下げ期待が急上昇。先物市場では:

  • 10月に50bp利下げの確率:71%
  • 12月までに75bpの利下げ確率:65%

と、わずか1週間前から大きな変化を示しています。

それでも市場心理は割れており、強気派は利下げが強気相場を延命させると主張する一方、慎重派は成長減速リスクを警戒。株価は史上最高値付近にあるため、マクロ環境の悪化が続けば調整の余地が残されているとの見方が、金曜日の株式売りで一段と強まりました。


嵐の前の静けさ:日本と世界のリスクに注目

今週は経済指標の発表は少なく静かなスタートとなりますが、市場は新たなボラティリティに備えています。アジアでは日本に注目が集まっており、政治的不透明感が高まっています。石破茂首相が辞任する可能性があるとの噂が流れており、円や日本株に影響を与える可能性があります。

日本のGDP統計も発表予定ですが、政治的なニュースがセンチメントを左右する展開になりそうです。ロンドンやニューヨーク市場では主要な経済指標の発表は限られていますが、先週の弱い米雇用統計の影響が尾を引き、世界的なリスク選好は引き続き脆弱な状態が続くと見られます。