米国株式市場は昨日の取引で再び上昇し、S&P500種株価指数とナスダック総合指数がともに終値で過去最高値を更新しました。ダウ平均は0.43%高で取引を終え、市場を牽引しました。S&P500は0.27%上昇、ナスダックはわずか0.09%の上昇ながらも記録的な水準に達しました。
米国の失業保険申請件数が減少したことを受け、米国債利回りも上昇しました。2年債利回りは3ベーシスポイント上昇し3.872%、10年債は1.8ベーシスポイント上昇して4.350%となりました。
ドルは主要通貨に対してまちまちな動きとなり、ドル指数(DXY)は0.04%上昇して97.59を記録しました。
原油市場では米国による関税措置の脅威を受け、大幅な値動きが見られました。ブレント原油は1.91%下落し1バレル68.85ドル、WTIは2.22%下落して66.86ドルとなりました。一方、金相場は比較的落ち着いた取引となり、最近のレンジ内で推移しつつ最終的に0.31%上昇し1オンス3,323.84ドルで取引を終了しました。
関税が市場に与える影響を警戒
トレーダーの間では、トランプ大統領による関税計画がこれまで市場にほとんど影響を及ぼしていないことに対する警戒感が高まっています。多くの市場関係者は、今後強い調整局面が訪れる可能性があると見ています。
株式市場は、4月の「解放の日」に発表された報復関税の第一報を受けた後、大幅に反発し、その後も主要株価指数は最高値を更新し続けています。しかし、いずれは関税が世界貿易に及ぼす影響を企業の評価に織り込まざるを得なくなるとの懸念も根強くあります。
アナリストは今後数週間から数カ月にかけて発表される経済データを注視しており、景気減速の兆しが現れた場合は、ボラティリティが急上昇するとの見方が広がっています。
週末に向けた地政学リスクと経済指標
今週も残り3回の取引セッションを控える中、地政学的リスクは引き続き市場の注目を集めています。米国の関税に関する最新の動きや脅威は昨日の市場心理に大きな影響を及ぼさず、一部の局所的な反応にとどまりましたが、トレーダーは今後の展開を引き続き警戒しています。
本日のアジア時間では重要な経済指標の発表はほとんどなく、前日のウォール街の好調な動きを引き継ぐ展開が予想されます。ロンドン市場では取引開始直後に英国GDP(前月比+0.1%予想)が発表され、結果次第で相場が大きく動く可能性があります。
ニューヨーク時間にはカナダの雇用統計に注目が集まります。雇用者数はわずか+0.9千人の増加、失業率は7.1%へ上昇する見通しです。